頻尿

頻尿について

排尿回数には個人差がありますが、日中の排尿回数は一般的に1日5~7回程度とされています。1日8回以上の排尿がある場合に頻尿と呼ばれ、夜間は1回でも起きて排尿する場合に、夜間頻尿とされます。治療が必要とされるのは日常生活への支障がある場合ですが、頻尿は多くの泌尿器疾患の症状として起こっていることが多いため、頻尿の症状がある場合には当院までご相談ください。

夜間頻尿について

頻尿を起こす原因

緊張や不安といったストレス

膀胱に溜まった尿の量が少なくても、緊張や不安が高まると尿意が起こるということはだれしも経験したことがあるかと思います。トイレに行けないシチュエーションなども頻繁な尿意につながることがあります。特に問題はありませんが、生活に支障が生じる場合には、適切な治療を受けることで改善が可能です。

利尿作用のある飲食物の過剰摂取

水分の摂取量が増えれば、排尿回数や尿の量も増えていきます。特に、コーヒー・お茶・紅茶・ビールには利尿作用があり、頻尿になりやすい傾向があります。また、バナナなどカリウムを多く含む飲食物も頻尿の要因となります。頻尿は飲水・飲食物を適切な量にすることで解消できます。なお、脳梗塞、痛風(高尿酸血症)、尿路結石などで多めの水分補給が必要となる場合も、頻尿になることがあります。

加齢による機能の低下

夜間に尿を濃縮するホルモンの分泌が低下すると夜間の尿量が増えます。加齢によってこうしたホルモンの分泌低下や膀胱の弾力性低下が生じ、夜間頻尿を起こすことがあります。この場合も適切な治療を受けることで改善が見込めます。

頻尿の症状を起こす主な疾患

腎臓・尿管・膀胱・尿道といった尿の通り道に細菌が感染して腎盂腎炎・膀胱炎・尿道炎などを起こすと、頻尿の症状を起こすことがあります。他にも前立腺肥大症や子宮筋腫、骨盤臓器脱などで尿道が圧迫されると頻尿を起こすことがあります。また、糖尿病、脳卒中、椎間板ヘルニアなどによって排尿をコントロールする神経が障害され、それによって頻尿の症状を起こすなど原因疾患は多岐に渡ります。原因をしっかり確かめ、適切な治療を行うことが重要です。

神経性頻尿(膀胱神経症)

炎症など器質的な異常はなく、緊張や不安といったストレスによって頻尿が生じています。頻繁にトイレに行きますが、尿は少量しか出ません。痛みなど他の症状が起こることもありません。日常生活に支障を生じる可能性が高いため、できるだけ早くご相談ください。

膀胱炎

尿道から入り込んだ細菌が膀胱粘膜に感染して炎症を起こしています。通常、膀胱に入り込んだ細菌は尿で洗い流されて感染することはありませんが、疲労や睡眠不足など免疫力が低下していると感染しやすくなります。女性は構造的な問題から膀胱炎を発症しやすい傾向があります。また、トイレの我慢や冷えなども膀胱炎発症のリスクになります。急性膀胱炎は比較的短期間に治せることが多いのですが、途中で治療をやめてしまうと治りきらずに再発し、それを繰り返して慢性化することもあります。なお、慢性膀胱炎では自覚症状をほとんど起こさないケースがありますが、腎機能障害などのリスクが高い状態であり、適切な治療が必要です。また、間質性膀胱炎では、尿が溜まった際に痛みを起こすという特徴的な症状を起こすことがあります。

膀胱炎について

過活動膀胱

膀胱内に尿が溜まっていないのに排尿筋が収縮し、突然尿意を生じて頻尿の症状を起こします。過度に膀胱が活動することで生じ、加齢や膀胱の知覚過敏、自律神経の乱れなど複数の原因が関与して発症すると考えられています。疾患が原因になって生じることもあります。頻尿以外では、突然強い尿意を感じてトイレに駆け込む、尿漏れなどを起こすこともあります。適切な治療により改善できますので、生活に支障を及ぼす前に当院までご相談ください。

過活動膀胱について

前立腺肥大症

男性にある前立腺は、加齢によって大きくなる傾向があります。前立腺は膀胱のすぐ下にあり、尿道を取り囲むように存在しているため、肥大すると排尿に関する症状を起こします。頻尿以外にも、尿の勢いが弱くなる、尿が途中で途切れる、尿意があるのに力まないと出ない、残尿感などを起こし、悪化すると尿が出なくなる尿閉を起こすこともあります。こうした症状は前立腺がんで生じることもありますので、しっかり検査を受けましょう。

前立腺肥大症について

骨盤臓器脱(性器脱)

女性の子宮や膀胱、直腸などの臓器は、しっかりした筋肉・靭帯・膜からなる骨盤底筋群が支えて正しい位置に保っています。この骨盤底筋群は、妊娠や出産によって大きなダメージを受けます。また、加齢によって骨盤底筋群の筋力が低下して骨盤内の臓器を支えきれなくなることがあります。それによって、子宮などが下がってしまった状態が骨盤臓器脱です。頻尿、排尿しにくい、立ち上がると急激な尿意が起こる、尿漏れなどの症状を起こし、進行すると膣から丸いものが脱出することもあります。肥満や慢性の便秘があると、骨盤臓器脱の発症リスクが上昇します。珍しい病気ではなく、保存的療法や手術などで治せますので、早めにご相談ください。

糖尿病

血糖値が慢性的に高い状態が続いて血管に大きな負担をかけ、動脈硬化を進行させます。また、神経にも悪影響を及ぼし、免疫力が低下するため感染症にもかかりやすくなります。血糖値をしっかりコントロールできないと水分が尿として排出され続け、頻尿や多飲多尿の症状を起こします。適切な治療や生活習慣の改善を続けて、血糖をしっかりコントロールすることが重要です。

膀胱がん

膀胱でつくられた尿が尿管を通じて送られ、一時的に溜めていく場所が膀胱です。膀胱の内側は、移行上皮(尿路上皮)と呼ばれる粘膜で覆われています。膀胱がんのほとんどは、この移行上皮の細胞ががん化して発生します。膀胱がんは、内側に向かって隆起する表在性膀胱がんと、外側に向かって進展する浸潤性膀胱がんに分けられます。表在性膀胱がんは悪性度が比較的低く転移を起こしにくくいのですが再発しやすく、浸潤性膀胱がんは悪性度が高く転移しやすいとされています。膀胱がんは見た目でわかる血尿や、尿検査でわかる顕微鏡的血尿をきっかけに早期発見できることがあります。血尿がある場合はできるだけ早く当院までご相談ください。

頻尿の予防

頻尿をはじめとする排尿トラブルは日常生活や仕事、学業に支障を及ぼし、QOL(生活の質)も低下させます。頻尿を起こす疾患は再発を繰り返すものも多いため、適切な治療を受けて治ってからも生活習慣を見直して再発を防ぐことが大切です。

ストレスの緩和・解消

緊張や不安といったストレスで膀胱に尿が溜まっていなくても尿意を感じることがあります。外出前にトイレの場所を確認しておくなどの工夫が有効な場合もあります。また、趣味やスポーツなどでできるだけストレスを上手に発散し、睡眠や休息をしっかりとるようにしてください。

生活習慣

尿意を我慢せずにすぐトイレに行き、足腰が冷えないよう注意しましょう。また、過激なダイエットは栄養の偏りなどから免疫力を低下させて感染症リスクを上昇させてしまいます。生理用用品は3時間を目安に取り換えるようにして、清潔を保ってください。なお、過度な洗浄を行うことでバリア機能が失われてしまい、感染しやすくなることもあります。適度なケアを心がけてください。

利尿作用のある飲食物に注意

コーヒー・緑茶・紅茶にはカフェインが含まれていて利尿作用がありますので、とりすぎないよう注意しましょう。特に就寝前にはこうした飲料を控えることが良質な睡眠につながります。なお、脱水を起こさないよう、カフェインを含まない飲料は適切にとってください。
また、バナナなどカリウムを多く含む飲食物の過剰摂取も利尿作用があるとされます。特に、頻尿にお悩みの場合、適量に留めることを心がけましょう。

膀胱や骨盤のトレーニング

女性は、妊娠出産で骨盤底筋群に大きなダメージを受けます。また加齢によって骨盤底筋群の筋力が低下することもあります。骨盤底筋群の機能が低下すると、頻尿をはじめとした排尿に関するトラブルが起こりやすくなります。妊娠出産後や更年期や閉経を迎えたら、骨盤底筋群のトレーニングを行うことで頻尿などの予防につながります。また、膀胱も正しい訓練を行うことで容量を増やすことができます。当院では骨盤底筋群のトレーニングや膀胱訓練の丁寧な指導も行っていますので、ご相談ください。

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